おかえり、ウミガメ
屋久島は、北太平洋有数のアカウミガメの産卵地です。5月ぐらいになると、おかあさんウミガメが産卵のために、砂浜に上陸します。砂浜には、いくつものアカウミガメのおかあさんのはった跡ができます。ひれのようになった足では、陸地をすすむのはたいへんなことです。でも、大きな台風などで海岸線がけずられても、卵が流されないような安全な場所を求めて、砂浜のおくへとおくへとはっていっていることがわかります。
屋久島在住の水中写真家・高久至さんの4作目の写真絵本です。高久さんは、この本では、文も書かれています。
高久さんにとって、アカウミガメは海の環境について教えてくれる先生でもあり、屋久島に移住してから、毎年、帰ってくるアカウミガメをカメラに収めてきました。ライフワークとして、これからもずっと追いかけたいテーマだそうです。
いつまでも「おかえり」と、アカウミガメを迎えられるように、海の環境をまもっていきたいという、高久さんの思いがつまった本です。
デザインは、細山田デザイン事務所の室田潤さんにお願いしました。波のうねりのようなデザインが、ゆったりと紙面を区切っていて、読むあいだずっと波音が聞こえてくるような、気持ちのよい本になっています。
プリンティング・ディレクションは、高久さんの絵本をずっと担当してくださっている東京印書館の髙栁昇さん。さまざまな海の青を表現してくださいました。
BOOK DATA
おかえり、ウミガメ
アリス館2021年4月32ページ
著者高久 至
協力楢﨑友子(名城大学)、井ノ口栄美(認定NPO法人 エバーラスティング・ネイチャー)、柴 一直
図版制作スタジオ・ポーキュパイン
デザイン室田 潤(細山田デザイン事務所)
プリンティング・ディレクション髙栁 昇(株式会社東京印書館)
企画・編集川嶋隆義・寒竹孝子(スタジオ・ポーキュパイン)