アザハタ王と海底城
屋久島の港から、少し沖へ行った海の底に、小さな自動車ぐらいの大きさのものがしずんでいるそうです。そこがアザハタ王のお城です。
アザハタは、赤い水玉もようの魚。このあたりでは、いちばん大きな魚です。
アザハタ王は、ただいばっているだけの王さまではありません。お城にくらす国民(小さな魚やエビやカニ、ヤドカリにウミウシにウツボなどなど)のために、お城のまわりを見回ったり、敵を追いはらったりと、いっしょうけんめいです。
そんなアザハタ王の日常を描きたくて、アザハタ王の一人称でおはなしを進めることにしました。胸をはって堂々と泳ぎまわるすがたで、はたらき者という愛すべきキャラクターを、「王さま」という言葉にこめることにしたのです。「えっへん!」「おっほん!」と、王さまらしいセリフを書くたびに、アザハタという魚がどんどん好きになりました。
読んでいる方にも、アザハタ王を好きになってもらえたら、うれしいです。
屋久島の水中写真家・高久至さんは、沖縄のアザハタ王のお城も見たことがあるそうです。そこでは、王さまがいなくなったとたん、国民はすがたを消し、1年もしないうちに、お城も砂にうもれてなくなってしまったそうです。
ぜひ、この絵本を開いて、アザハタ王の物語を読んでみてください。アザハタ王のすごさがわかりますよ。
BOOK DATA
アザハタ王と海底城
アリス館2018年6月35ページ
写真高久 至
文かんちくたかこ
デザイン椎名麻美
プリンティング・ディレクション髙栁 昇(株式会社東京印書館)
企画・構成・編集川嶋隆義・寒竹孝子(スタジオ・ポーキュパイン)